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取引基本契約書とは?作成が必要な理由と盛り込むべき条項

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重要な契約書の一つである「取引基本契約書」。実は取引基本契約書には多くのメリットが存在しています。ここでは契約書がどのようなものかを説明するとともに、実際に作成する際に盛り込むべき条項を解説します。

目次

取引基本契約書とは

同じ取引相手から繰り返し反復して商品を購入したり、同じ取引相手に継続して業務を依頼したりといった「継続的取引」を行う場合、商品や注文個数、単価など以外の基本的な取引条件は共通であることが多くあります。

このような場合、毎回契約書を作成して取り交わすことは、自分にとっても相手方にとっても、煩雑な作業です。そこで、あらかじめ共通する内容を「取引基本契約書」として締結することをおすすめします。取引基本契約書を締結すれば、実際に注文・発注する場面で、発注書(商品名や内容、単価、数量)と発注請書を交わすだけで、簡単に契約が成立できます。なお、この発注書は「個別契約書」と呼ばれるものです。

取引基本契約書と個別契約書の違いについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。2020年の民法改正も踏まえた最新情報も盛り込んでいます。

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取引基本契約書の作成が必要な理由

取引基本契約書は、実際にどのような場面で作成や締結が必要になるのでしょうか。作成が必要な理由と作成するメリットについて解説します。

継続的な取引の場合

繰り返し発生する契約作業を簡易にすることで、取引コストを削減することが可能です。これは、取引基本契約書を締結することで、毎回の取引に共通する項目を都度確認する必要が無くなるためです。

そのほかにも、メリットがあります。それが取引関係の予測可能性です。例えば取引基本契約書に「あらかじめ●ヵ月先の発注予想を提出する」などと定めておくことで、唐突に大きな発注を受けるといった事態が避けられます。つまり生産に必要な資材や部材、そして在庫の確保が発注予測に基づいて行えるのです。かつ、取引の継続性が予想できるということは、急に取引が無くなるリスクも避けられます。

また、債権保全に関する条項を取引基本契約書に入れておくと、相手方の財政状況が悪化し、支払いが滞った場合などについて事前に定めておけるからです。

複合的な契約を取りまとめるため

取引基本契約書に毎回の取引に共通する項目を含められると解説しましたが、どのような項目が該当するのでしょうか。例えば「支払条件」や「支払期限」、「受入検査の方法」や「秘密保持」「賃貸借・使用貸借」などが内包可能で、広く複合的な契約を包括できます。

このように、取引基本契約書は必ずしも締結しなければならない契約書ではなく、他の契約書と同じように毎回契約書を交わして取引を行うことも可能です。しかし、取引基本契約書には「取引コストの削減による迅速な受発注処理」、「取引関係の予測可能性」、「複合的な契約を内包できる」といったメリットが多くあります。

取引基本契約書はどちらが作成する?

契約書の作成が法律で定められているわけではないため、取引基本契約書も必ず作成すべきというものではありません。

ただし、下請法の下請取引に該当する場合は発注側に書面交付義務があり、書面に記載する事項も下請法で定められています。このような場合に記載事項を都度発注書面に書くようなことはせず、取引基本契約書にあらかじめまとめてということは業務がスムーズになるでしょう。

契約書案は、どちらが先に作成しても問題ありません。相手方に作成してもらえば自社に不利な条件が盛り込まれている可能性も考えられます。そのため、極力自社で作成したほうがベターです。契約書案を相手方が作成する場合は、自社にとって不利になるような条件が含まれていないかどうかを確認してください。

取引基本契約書の記載項目

実際に取引基本契約書を作成する場合、どのような契約条項を設ければ良いのでしょうか。ここでは商品の売買において、買主と売主が交わす契約書を例に、定めておくべき条項や、発注を便利にできる内容などを含めて、その書き方を解説します。

基本合意

取引基本契約書における基本的な取引内容を定めます。例えば商品の売買であれば「甲が取り扱う商品を継続的に売り渡し、乙がこれを買い受ける」といったように売買契約であることを明確にします。

適用範囲

取引基本契約書の内容がどこまでの取引に適用されるかを定めます。「基本合意の内容について適用される」などと書きますが、もう一つの重要な内容が「優先事項」です。イレギュラーな発注などがあった場合に交わす個別契約書と取引基本契約書の内容が異なる場合にどちらが優先されるかについて、「個別契約書が優先して適用される」といったように内容を具体的に定めておきましょう。

個別契約の成立

発注方法を定めます。発注年月日、名称や品番、数量や納期、納品場所といった項目はもちろん、発注書(注文書)の提出方法も定めます。以前は紙の文書やFaxなどがオーソドックスでしたが、現在では電子メールでの発注を受け付ける企業も少なくありません、より簡易に発注が行うために、電子メールでの発注を定めておくことも可能です。また、受注者が発注内容を承諾しない場合、いつまでに通知しなければならない、といった内容も必要です。

商品の受け渡し

発注書の内容に従い、納期までに納品場所に引き渡す旨を記載します。引き渡しにかかる送料についても、どちらが負担するかを定めましょう。

発注予想の提出

発注予想が欲しい場合「あらかじめ●ヵ月先の発注予想を毎月△△日までに提出する」などと記載します。予想と実際が大きく違う場合でも損害賠償請求ができないといった内容や、もし損害賠償請求できるのであれば、予測できないような事由があった場合についての対応も明記しておく必要があります。

検査・検収

商品の受け渡し後、いつまでに検査を行って相手方に結果を通知するかを定めます。通知がなければ検査に合格したとみなすといった文言を記載することも重要です。

不合格の場合の処理

検査、検収の結果、不合格であったものについて定めます。品質として不合格の場合や数量不足の場合に追加納入する期限や、数量超過の場合に引き取る期限、また検査不合格に対する異議などを通知する方法を明記します。

特別採用

検査の結果、不合格となった場合でも、当事者同士が協議によって価格を別途決定したうえで、引き取るといったことが想定される場合はその内容を記載します。その際の値引きなども含めて記載しましょう。

所有権の移転

納品された商品の所有権が、いつ相手に移転するかを定めます。例えば「所有権は検査合格時に移転する」などのように記載します。特別採用によって引き取られた商品についても「合意成立時に移転する」など具体的に記載しましょう。

危険負担

引き渡し前に発生した商品の破損や紛失、劣化などの損害を誰が負担するのかを明記します。また、引き渡し後についても負担者を定めます。

商品の単価

商品単価の決め方を定めます。受注者による見積書によって金額が提示され、両者協議のうえ、決定する旨を記載するのが一般的です。

代金の支払いおよび相殺

商品代金の支払方法を定めます。例えば「毎月月末締め、翌月●日に、指定する金融機関の指定口座に振り込む」などと記載しましょう。振込手数料をどちらが負担するかを明記するとトラブルを未然に防げます(特に下請法の下請取引に該当する場合は必ず記載しましょう)。また、発注者が受注者に金銭債権を持っている場合、支払金額によっていつでも相殺できる旨を記載することもできますが、相殺をしたくない場合は「相殺禁止」の項目を入れましょう。

期限の利益の損失

支払い停止や支払い不能な状態に陥った場合や、差押え、仮差押え、破産、会社整理の申し立てを行った場合に、取引基本契約書や個別契約書(発注書)の利益期限を喪失することを明記します。本来、ビジネスにおいて「期限」は相手に待ってもらえるという利益ですが、待つことが取引のリスクにつながるような事態には期限の利益を喪失させ、相手方に対して直ちに債務を履行するように要求ができるようにする取り決めです。

通知義務

法人の名称や商号の変更、指定口座の変更、代表者の変更などがあった場合に、直ちに通知する旨を記載します。

契約不適合による担保責任

納品された商品に瑕疵(受領した際にはわからなかった隠れた不具合のこと)があった場合の通知方法と、対応方法を明記します。例えば補修や追加納品、代金の減額や損害賠償についてです。ただし、特別採用によって納品された商品についての取り決めをした場合は特別採用品の扱いについても明記が必要です。また、担保責任の期間について民法と異なる取り決めをする場合は、納品後いつまでなのかも定めておきましょう。

秘密保持義務

取引基本契約書や個別契約(発注書)によって知り得た相手方の営業上の秘密を、第三者に漏洩してはならない旨を記載します。

解約の申し入れ・解除

契約の解約や解除を●ヵ月前に予告するといった内容を記載します。また「期限の利益の喪失」に記載した内容に該当した場合に解除できる旨も記載します。契約解除による損害の賠償に関しても明記しておきましょう。

契約期間

契約期間について記載します。自動更新にしたい場合はその旨も記載しましょう。

取引基本契約書は継続的な取引において便利で重要な契約書

取引基本契約書は、継続する個々の取引において都度契約書を交わさなくて良いように、あらかじめ共通する内容を定めておく契約書です。取引基本契約書を締結することで迅速な取引が実現できるばかりか、多くの契約内容を包括するため、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。継続的取引が発生する相手方とは取引基本契約書を活用しましょう。

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参照:営業の拠点は東京・大阪・福岡の支社 契約業務はすべて宮崎の本社 郵送による契約の停滞が電子化でゼロに

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この記事を書いた人

GMOサインが運営する公式ブログ「GMOサインブログ」の編集部です。
電子署名/電子サイン/電子印鑑(デジタルハンコ)/脱印鑑(脱ハンコ)/電子文書/電子証明書/電子帳簿保存法など、電子契約にまつわる様々なお役立ち情報をお届けします。

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