2020年7月13日
e-文書法と電子帳簿保存法の基本を知ろう
事務処理に用いる書類のペーパーレス化を進める際、避けて通れないのが法制度の問題です。
管理業務で用いる書類には、電子化・ペーパーレス化の可否を定める2つの代表的な法令があります。「e-文書法」と「電子帳簿保存法」です。
今回は電子文書と電子“化”文書という2つの用語の違いを整理しつつ、少し複雑な法律を読み解くための基本的な考え方を解説します。
目次
電子文書と電子化文書の違い
一見すると電子文書と電子化文書は同じように見えますが、実はまったく意味が異なります。
法律の違いを確認する前に、まずは電子文書と電子化文書の違いを押さえましょう。
電子文書は純デジタルデータ
電子文書は、最初からすべての情報がデジタルデータで作られた文書を指します。
例えばWordなどのような文書作成アプリケーションを使って作成し、保存した文書ファイルです。
電子化文書は元アナログなデジタルデータ
一方、電子化文書は、最初はアナログであった文書を後から電子“化“したものを言います。
わかりやすい例としては、初めは紙媒体にプリントアウトされていた書類を、スキャンを取ってPDFファイルにしたような場合です。
e-文書法と電子帳簿保存法の対象となる文書
どちらの法律も、こうした電子文書や電子化文書としての保管の可否を定める法律です。
以下では、それぞれの法律の対象となる文書について解説します。
e-文書法の場合
民間において、法人税法や商法などの法律により保管する義務がある書類が多数存在しています。e-文書法は、その保管義務がある文書の電子データ保存を容認する法律です。
帳簿、領収書、請求書、納品書、預金通帳、建築図面、診察記録などが対象となっています。
電子帳簿保存法の場合
電子帳簿保存法も電子データで保存することを認めた法律です。
対象とする文書は、国税に関する書類が主です。
もともと電子帳簿保存法は、e-文書法が制定される前から存在する法律でした。しかし、e-文書法が制定されたタイミングで改正され、幅広く書類の電子化の要件を定める法律となりました。
近年ではスキャナーのみならず、スマホのカメラによる電子化も認められるなど、規制緩和が進んでいます。
データで書類を保管する前に
電子文書・電子化文書による保管が認められるかどうか、以下のチェックポイントで簡単に要件を整理することをおすすめします。
法律を踏まえたチェックポイント
電子化・電子文書化による保管を認めているか
例えば、国税関係に該当する書類は幅広く認められています。
保存方法について、どのような要件があるか
書類を電子データとして管理する場合、タイムスタンプによる作成時刻の管理が義務付けられていたり、社内規定の整備が必要となるケースがあり、注意が必要です。
役所の届け出・承認が必要でないかどうか
電子文書や電子化文書で保管する書類によっては、税務署をはじめとする役所に対して事前承認が必要な場合もあります。
まとめ
今回は、電子文書と電子化文書の違いから、ペーパーレス化にかかわる法律について簡単にご説明しました。
難解な法律の話では、専門家の力を借りることも重要です。全体像を前もって頭に入れておくことで、専門家のアドバイスも理解しやすくなるでしょう。
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筆者
ハンコ脱出作戦 編集部