2020年6月1日
2020年6月24日
解説「印鑑の効力」〜電子印鑑との違い〜
テレワークが広がる中、印鑑の代わりとなる電子印鑑が注目を集めています。
今回は、印鑑の種類や法律における規定をおさらいした上で、電子印鑑の種類・用途についてご説明します。自社に最適な形で電子印鑑を活用するためには、印鑑そのものの知識を押さえておくと安心です。
目次
印鑑の持つ役割|意外と知らない印鑑の種類と役割
近年では銀行や会社などの手続きをインターネット上で行う機会も増えており、印鑑を持ってはいるもののほとんど使用しないという人もいるかもしれません。しかし電子印鑑の意義や使用法などについて理解するためには、従来型の印鑑についての基礎知識が必要です。まずは印鑑の種類と、それぞれの役割について簡単にご説明します。
印鑑の種類は数多いのですが、代表的なものとして「認印」「実印」「銀行印」の3種類に大きく分けることができます。
認印
認印とは、役所の印鑑登録や金融機関の登録はなく、日常的に利用する印鑑のことです。宅配便の受領や印鑑登録を要しない書類の作成、会社における一般事務(出勤簿、簡単な伝票作成など)といった用途に広く用いられます。公的な証明はないものの、捺印すると責任が生じるため、きちんと書類の内容を把握する必要があります。
実印
次に実印は、役所で印鑑登録という手続きにより、印鑑証明を受けた印鑑です。法的・社会的な権利および義務が発生するため、実印の捺印には大きな責任がともないます。一般的には、金銭などの貸借証書、不動産取引、相続など重要な場面で実印を使います。認印は家族全員同じものを使い回しても問題ありませんが、実印は個人の印鑑登録にひも付くので、決して使い回してはいけません。
なお、法務局に登録する法人の実印のことを特に会社実印と呼びます。社内外における契約書や受発注書、誓約書などに用いられます。
銀行印
そして銀行印とは、金融機関での口座開設、金銭の出納、また保険や証券の契約時に使用する印鑑です。認印と同様に法的な印鑑証明はありませんが、金銭管理に利用するのでとても大きな責任をともないます。認印と同じ印鑑を銀行印として使うこともできますが、紛失のリスクを考えると分けた方が無難でしょう。
以上のように、場面に応じていくつかの印鑑を使い分けるのが基本です。公的機関に登録して証明を受けた印鑑は公的な証明として用いられ、認印は家庭内や社内用の書類に用いられます。
電子印鑑の効力|法的な効力ってあるの?
普通の印鑑に法的効力がある理由
普通の印鑑は、民事訴訟法第228条4項によってその法的な効力を規定されています。この項目では、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」とされており、私文書(公務員ではない一般の個人・法人)に印鑑を捺印したことによって法的な効力を持つようになることが分かります。
電子印鑑と電子契約の法的効力
また、電子データの文書が法的効力を持つことも法律に規定されています。2001年に施行された電子署名法の第3条では、「本人による電子署名が行われているときは、電磁的記録が真正に成立したものと推定する」と記されています。
そして電子印鑑の効力を理解するために、知っておきたいのが「電子署名」と「電子契約」という言葉です。電子署名には、本人のものであることを示す証拠力の違いに応じて2つの署名タイプがあります。それが「電子サイン」と「電子署名」です。また、電子契約は電子データ(文書)に電子署名を行い、契約締結することをさします。
電子サインは、メール認証やシステムログなどによって本人確認を行うものです。一方、電子署名は、第三者機関である電子認証局が発行する電子証明書によって本人性を担保しています。もちろん、電子サインよりも電子署名の方が強い証拠力を持ちます。
単純な電子印鑑では法的効力に乏しい
単純に電子的な押印を行う電子印鑑は、いわゆる「電子印影」であり、電子データに添付する画像化した印影を指します。印影を画像化しただけでは本人性を担保できないため、法的効力は持たないと言えます。そこで、電子サインや電子署名のようにメール認証や電子証明書など、別の証明方法を追加できれば、電子印鑑にも法的な効力を持たせることは可能です。
電子印鑑の活用|目的と用途に応じた使い分け
電子印鑑を導入する場合にも、用途や法的効力の有無などの違いに応じて検討する必要があります。例えば、社内外の契約書や受発注書にまで電子印鑑を使いたいのであれば、法的効力をきちんと有するタイプのツールを選びましょう。電子印鑑にもさまざまなタイプがありますが、中には法的効力を認められないものもあるので注意しなければなりません。
法的効力のあるGMO電子印鑑Agree
GMO電子印鑑Agreeでは、メールと手書きサインによる認証を行い法的に有効な「契約印プラン」と、電子証明書による認証を行い実印と同様の法的効力を認められている「実印&契約印プラン」という2つのプランがあります。「契約印プラン」は気軽に使える電子サインで、テレワーク環境を迅速に実現したい場合に適しています。「実印&契約印プラン」は、電子署名によるガバナンス強化にまで踏み込んだ電子契約サービスです。
まとめ
普通の印鑑でも認印と実印を用途によって使い分けているように、電子印鑑も法的効力の強さや目的・対象(社内だけか社外も含めるのか)によって使い分けることが必要になります。そのため、電子印鑑を導入する際はそもそもの印鑑の効力についての知識を持つことも大切です。
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筆者
ハンコ脱出作戦 編集部