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2020年10月14日

償却資産申告書とは?対象となる資産と納税までの流れ

事業を立ち上げてから「償却資産申告書という書類が郵送されてきたけれど、内容がよく理解できず、どうしていいか分からなかった」という経験をされた人もいるかもしれません。そこでこの記事では、税金関係の書類の中でもあまりよく知られていない、「償却資産申告書」について解説します。

償却資産申告書の基礎知識

償却資産申告書は、どのような税金に関する書類なのかあまり知られていませんが、実は「固定資産税」に関連する書類です。償却資産申告書とは、固定資産税の対象となる償却資産を所有している場合、毎年1月1日の所有状況を申告するために提出が必要なのです。

固定資産税というと、土地や建物を所有している場合に、市町村(東京23区は都税事務所)から納付書が送られてきて支払いを行う、というのが一般的なイメージだと思います。しかし、土地や家屋のような不動産だけではなく、事業のために使用する機械装置や器具備品といった減価償却資産も課税の対象となっているのです。

税金の種類としては、地方税に該当し、個人や法人の保有する資産に課税されるもので、資産課税に分類されます。では、なぜ土地や建物については申告書の作成・提出が不要であるのに、償却資産については申告書を作成・提出しなければならないのでしょう。

その理由は登記制度にあります。不動産であれば登記制度によって所有者を把握できるので、市町村は課税のための報告を求めずに済みます。一方、償却資産の場合は、不動産登記のように公に所有を報告するシステムがありません。そのため、各事業者がどれだけ課税対象の設備を保有しているか、課税対象の設備が1年間でどれだけ増加・減少したか、市町村側は分からないのです。

どこに誰がどれだけ資産を所有しているかを把握することが難しいため、償却資産申告書が必要とされています。

膨大な数の各企業の保有資産を、市町村が自らすべて調査するというのも現実的ではありません。そのため償却資産については、各事業者が償却資産申告書という形で、保有している課税対象となる償却資産を報告し、市町村はその報告に基づいて課税金額を計算しています。

償却資産申告書で申告対象となる資産

では、具体的に申告対象となる資産にはどのようなものがあるのでしょう。前提として、償却資産の対象となるのは、会社や個人で事業を営んでいる場合、その事業のために使用する機械・器具・備品などです。主な例示としては下記の六区分に分かれており、それぞれ次のようなものがあります。

構築物
建物付属設備
広告塔、駐車設備、門、塀、煙突、庭園、緑化施設、舗装路面、外構工事 など

受変電設備、自家発電設備、駐車設備、テナント内部造作 など

機械及び装置 機械式駐車設備、工作・木工機械等各種製造加工機械、印刷機械、化学装置、電動機・起重機、土木建設機械、その他各種業務用機械および装置 など
船舶 ボート、はしけ、貨客船、漁船、工作船、水中翼船 など
航空機 飛行機、ヘリコプター、グライダーなど
車両及び運搬具 道路運送車両法に規定する大型特殊自動車、各種運搬具 など
工具、器具及び備品 パソコン、医療用設備、看板、ネオンサイン、応接セット、ロッカー、コピー機、光学機器、レジスター など

実務においては、固定資産台帳等を基本として対象資産を検討することになります。誤りやすいポイントとして、建物には電気設備や給排水設備、空調設備など家屋と一体となっている設備がありますが、建物と償却資産は区別する必要があります。

この判断基準としては、取り外しが容易で別の場所に移動できるものや屋外に設置された配線・配管等については償却資産として取り扱うことになります。一方で、設備の種類や取付状況によっては、建物と償却資産の区別が難しい場合もあるため、迷った場合には市町村の担当窓口に問い合わせるのが無難でしょう。

また、法人税・所得税の申告において、青色申告の少額減価償却資産の特例の適用を受けて全額損金とした資産がある場合、法人税・所得税では損金となっていても、償却資産申告書では報告の対象となるため、注意が必要です。

償却資産の申告から納税までの流れ

1.申告書の提出
償却資産を所有している場合、毎年1月1日現在所有している償却資産の内容(取得年月、取得価額、耐用年数等)について、同年の1月31日までに償却資産が所在する市町村に申告します。

申告書の作成・記入にあたっては、法人であれば固定資産台帳や法人税申告書別表16等を、個人であれば所得税の申告における減価償却明細、固定資産を管理している帳簿等を基に行います。償却資産申告書は、法人税申告書のように各表が複雑に関係しているようなものではないため、書き方は比較的単純です。

なお、この申告書にて報告するのは、あくまでも保有している償却資産の取得年月や取得価格といった内容であり、実際に納める税金の金額計算は市町村にて行います。

2.価格等の決定及び課税台帳への登録・公示・閲覧
償却資産の評価額等は、1の申告及び市町村における調査に基づいて決定され、償却資産課税台帳に登録されます。市町村は登録後、価格等を償却資産課税台帳に登録した旨を公示。公示後、この登録された価格等については、市町村にて所有者、納税管理人及び代理人等、固定資産税の課税に直接関係を有する者が閲覧できます。

3.税額の算出及び納税通知書の交付
市町村にて、税額を算出し、6月上旬に納税通知書が交付されます。なお、固定資産税には免税点という制度があり、価格等の算出の結果、課税標準額が150万円未満の場合には課税されません。免税点以下で課税がされない場合は、納税通知書も交付されないことになります。

4.納税
交付された納税通知書に従い、納税します。納期は基本的に年4回となっており、現金や口座振替のほか、クレジットカードやスマートフォン決済アプリによる納付も可能です。ただし、市町村によっては対応していない場合もあるため、事前に確認が必要です。

まとめ:正しい償却資産申告書作成を!

償却資産申告書は、あまりなじみのない書類かもしれません。しかし、報告内容に過不足があったり、提出をおろそかにしたりしていると、思わぬペナルティを受ける可能性があります。しっかりと対象資産を確認し、確実に申告書の作成・提出を実施していきましょう。

<プロフィール>

山田 大悟(やまだ だいご)
税理士

企業所属の税理士として、財務諸表や申告書の作成といった経理業務を経験したのち、専門性を高めるために外資系税理士法人に転職。大企業から中小企業まで法人税を中心として幅広く税務業務に従事。税理士法人退職後は、一般企業の経営に携わるとともに、フリーランスの税理士として活動している。

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ハンコ脱出作戦 編集部

筆者

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