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働き方

2020年7月14日

覚書に収入印紙の貼付は必要?ケース別の印紙代と費用を抑える方法

ビジネスでやり取りされる文書のひとつに「覚書(おぼえがき)」があります。覚書という文書は法律で定義されているわけではありませんが、その内容は、当事者が合意した項目や条件などが書かれていることが多く、契約書と同じようにも思えます。覚書が契約書と同じ体裁や内容を満たしている場合は、収入印紙を貼る必要があります。

そこで今回は、覚書に収入印紙が必要なケースや、印紙代を節約する方法を解説します。

覚書とは?

覚書にはさまざまな用途があり、その内容に応じて「覚書」以外の名称を使っている場合もあります。このため、どの書類が覚書なのかわかりにくく感じる方も少なくありません。まずは覚書がどのようなものか、具体的な例を紹介します。

覚書が変更契約書として使われるケース

覚書は法律上定義された文書ではありません。契約書に記載された内容に対して項目の追加、修正をする場合に取り交わす書面として使われる場合があります。契約書の内容を大きく変更する場合は、新たに契約書を作り締結する方法もありますが、部分的な変更であれば、覚書を取り交わします。

特に定められたフォーマットはないため、自由に作成できます。契約内容の変更を伴う重要な事項を記載する文書ですので、変更箇所や変更点、その効力の発生する日付を明記する必要があります。「変更契約書」「変更確認書」などといった名称が使われることもありますが、実質的に効力に違いはありません。

契約締結後に契約条件を決めるケース

業務を請け負う場合に交わす請負契約書には金額や作業範囲が記載されますが、契約締結時に金額などの条件が確定できないケースがあります。例えば、実際に作業を開始してみないと作業量や作業範囲がわからない場合です。契約締結時には「報酬額、業務の範囲、工数は別途協議のうえで定める」などと記載しておき、実際に業務が始まってから、契約期間や作業範囲、報酬額を決め、それらを文書化した覚書を作成します。

覚書に収入印紙の貼付が必要なケースと印紙税額の目安

覚書が、契約書の内容を変更するものということがわかりました。それでは覚書を作成した際、印紙を貼る必要はあるのでしょうか。

課税文書に該当する収入印紙の貼付が必要な覚書

収入印紙を貼る必要がある文書は「課税文書」と呼ばれます。この課税文書は印紙税法によって定められているもので、該当する20種類の書類が国税庁のホームページで公開されています。
ここで注意が必要なのは、課税文書に該当するか否かは、文書の名称に関わらず、その文書の内容をくみ取って判断するということです。名称が「契約書」「契約請書」ではなく「覚書」だからといって、該当しないわけではありません。

課税文書と印紙税の例

前述のように課税文書は第1号〜第20号に分類されています。ここではその一部である、第1号、第2号に該当する文書とその課税額を紹介します。まず、「印紙税額の一覧表」によると、以下に当てはまるものは第1号文書とされます。

  • 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
  • 地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
  • 消費貸借に関する契約書
  • 運送に関する契約書(傭船契約書を含む)

第1号文書の印紙税額は以下の通りです。(令和2年4月1日現在)

記載された契約金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1千円
100万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

続いて第2号文書は、以下に当てはまるものとされています。(令和2年4月1日現在)

  • 請負に関する契約書
記載された契約金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1千円
300万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

非課税文書、不課税文書に該当する覚書

覚書が非課税文書に該当する場合、印紙を貼る必要はありません。例えば契約書が第2号文書でも、契約金額が1万円未満の場合は非課税文書に該当し、収入印紙は必要ありません。

また、課税物件表のどれにも該当しない文章は「不課税文書」となります。不課税文書は「委任契約書(無報酬)」「使用貸借契約書(無報酬)」「雇用契約書」「秘密保持契約書」「ソフトウェア利用許諾契約書」などが該当します。

覚書に収入印紙を貼付し忘れた場合はどうなる?

課税文書にあたる覚書に印紙を貼らなかった場合はどうなるのでしょうか。まず、課税文書に印紙を貼らなかった場合は、印紙税額とその額の2倍となる「過怠税」がかかってしまいます。また、印紙を貼ったものの消印を忘れてしまった場合でも、額面金額相当の過怠税がかかるので注意が必要です。

作成した覚書が課税文書に該当するか否かは、前述した印紙税法別表第一を確認するほか、判断が難しい場合は事前に管轄の税務署に相談することをおすすめします。

覚書に貼付する収入印紙代を節約する方法

覚書に貼る印紙は、上述した通り印紙税法で明確に定められています。節約する余地はないと思うかもしれませんが、実は節約する方法があります。ここではいくつかその方法を紹介します。

金額変更書類は元の金額を明記する

まず業務委託契約書によって1,000万円の業務を契約し、覚書によって委託報酬金額を増減する場合を考えてみましょう。

委託報酬金額を200万円増やす場合、覚書に「業務委託契約書に定める報酬額を1,200万円に変更する」と記載したとします。この場合、業務委託契約書の委託報酬金額が書面に記載されていないため1,200万円が契約金額とみなされ、印紙税は2万円となります。

しかし「業務委託契約書に定める報酬額1,000万円を1,200万円に変更する」と明記すると、増額した200万円が契約金額となり、200万円分の印紙税400円で済むのです。これは契約金額が減少した場合も同様で、変更前後の金額を明記しない場合、高額な印紙税となります。具体的には「報酬額1,200万円を1,000万円に変更する」と明記すると、契約金額が減少するため、記載金額の記載がない2号文書となり、印紙税は200円となります。しかし「報酬額を1,000万円に変更する」と書くと1,000万円が契約金額となり印紙税は1万円となるのです。覚書には必ず元の金額と変更になった金額を併記することが重要です。

電子契約に変更すると印紙がいらない

「電子契約」は、紙の契約書と同じく法的根拠のある契約が交わせますが、契約金額の大きさに関わらず印紙を貼る必要がありません。これは、契約書を紙の書類で作成する場合に限り「課税文書の作成」と定義されるため、電子データを送付し、電子署名などで双方の合意を証明する電子契約書の場合、課税文書に該当しないからです。契約金額が大きい場合や、契約書を多く交わしている会社では、電子契約への移行がもっとも収入印紙代を節約できる方法といえるでしょう。

覚書も内容により印紙が必要。節約するなら電子化がおすすめ

覚書はその内容や実態により課税文書に該当する場合は印紙を貼る必要があります。作成した覚書が課税文書に該当するかわからないときは、税務署などに相談しましょう。覚書に記載する金額の書き方によっては印紙税が高くなってしまいます。金額変更時は差額がわかるように、元の金額と変更後の金額を明記することが節約の第一歩です。また、印紙を貼る必要がない「電子契約」への移行も検討してみましょう。

ハンコ脱出作戦 編集部

筆者

ハンコ脱出作戦 編集部

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