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電子契約を学ぶ

2020年11月16日

「宮内弁護士が解説!電子契約の法的有効性と2つの署名タイプ」

電子署名法研究会等の政府委員会に多数参加されている宮内宏弁護士を講師としてお招きし、「電子契約は法的に問題ないのか」、「当事者型と立会人型の違い」など電子契約サービスの導入をご検討中の方向けに電子契約の法的有効性と2つの署名タイプを解説いただきました。

※当記事は2020年10月30日に開催したオンラインセミナーの内容をもとに作成しています。

「契約書」は何のために作るのか

従来は紙で行っていた契約を、電子文書で取り交わすものを「電子契約」と呼びます。したがって、電子契約について考える際には、法的に有効であるかがポイントとなります。

まずは「契約書」が何のためにあるのか、解説しましょう。

「契約」は口頭でも成立します。口約束でも成立するのです。契約書は契約の要件ではありません。

しかし、契約について争いが起こったときには、その契約を証明しなくてはならず、口頭での契約では証拠が存在しません。こういった場合に備え、証拠とするために契約書が必要となるのです。

契約書は、特に訴訟において「契約の証拠になるもの」と認識してください。一定の制限はありますが、電子文書による電子契約でも成立します。

紙の文書と電子文書の扱われ方

紙の文書と電子文書の扱われ方についてお話しましょう。法律上では「書面」とある場合、木の板や石版といった有形物であればなんでもよいのですが、一般的には紙で作成します。

法律上で電子文書を表す「電磁的記録」は書面とは認められていませんが、書面が求められていても、電磁的記録を書面とみなす規定があれば問題ありません。

例えば、保証契約では民法446条2項に「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」とあります。これは、平成17年の改正によって書面が必要になったものですが、電磁的記録でも認められます。同条3項にて「保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして」と規定されたためです。

2020年現在、ほぼ全ての契約書を電子化しても問題ないと言えるでしょう。もともと書面によるという規定がないものは電子化して大丈夫です。また、先にお話したように、書面を求めていても、「電磁的記録によってされた」とみなす規定があれば問題ありません。

しかし、紙ではなくてはいけないものも存在します。たとえば、借地借家法上の定期賃貸借契約は、紙でなくてはなりません。

また、訪問販売での説明資料なども紙である必要があります。こちらの場合はさらに、文字の大きさは8ポイント以上、注意事項は赤枠内に赤字で記載するといった細かな制限があるのです。

裁判での証拠能力と「真正な成立の推定」

民事訴訟において、文書の証拠を提出するときは、民事訴訟法第228条1項で「その成立が真正であることを証明しなければならない」とあります。では「成立が真正であること」について検討してみましょう。

まず、私が「1,000万円を借りました」と、書面である借用書に名前を書いたとします。そして、貸した側からお金を返せと請求されます。この借用書を実際に私が書いたのであれば請求できますが、誰が書いたのかわからない場合は請求できません。

したがって、誰の意思が借用書や契約書に記されているのか、そして誰が作ったのかを明らかにすることこそが「成立が真正であること」の証明にあたるのです。

しかし、この証明は難しいため、「推定規定」というものもあります。

民事訴訟法228条4項に「本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」とあります。すなわち、署名もしくは押印が「成立が真正であること」の推定のための要件となっているのです。

ここでの「本人の押印」とは、例えば私であれば「宮内」という押印がありさえすれば真正とみなされる、というものではなく、それが私のものであることまで証明する必要があります。実印であればこの印鑑が本人のものであると証明できますが、三文判などを使うと本人証明が難しいこともあります。


紙の文書と同じように、電子文書でも「成立が真正であること」を推定する条項が電子署名法第3条にあります。本人による「電子署名」が行われている場合、真正とみなされるのです。本人による電子署名であることは、電子証明書を用いて証明します。

要するに、電子署名は押印と同じ効力を持っています。一定の条件を満たす必要がありますが、証拠として使うことができるのです。

電子署名(デジタル署名)と電子証明書

電子署名とはどのようなものなのか、印鑑と比較して考えてみましょう。

まず、私本人しか持っていない印鑑を、紙の書類に押します。

電子署名には「秘密鍵」というものが使われ、生成プログラムから電子文書に出力されます。なお、電子署名部分だけを切り取って他の文書に貼り付けても意味をなさず、流用ができない仕組みとなっています。

印鑑の場合、印鑑証明書によって印影と印鑑が同じであるかを確認できます。これと同様に、電子署名は「電子証明書」で正しいものかどうかを確認できるのです。

電子証明書には、電子署名を検証するための情報となる「公開鍵」が含まれます。公開鍵で確認できる電子署名は、本人のものと証明できるのです。

検証する方法は、電子文書と電子署名、電子証明書を電子署名検証プログラムに入れ、この3つの関係が正しいか確認するというものです。この際、電子署名を行った電子文書を、一文字でも変えていると、正しいと証明できません。

電子署名を検証することで、電子文書が本人によって作成されたことを証明するとともに、作成後に改ざんされていないことを同時に証明してくれます。つまりは、署名者の特定と非改ざん性の証明です。この2つこそが、先にお話した「一定の条件」を満たすものとなるのです。

電子証明書を発行する「民間認証局と公的認証局」とは

電子証明書は、民間と公的機関が発行しています。

民間(民間認証局)が発行する電子証明書は、戸籍や住民票、免許証などによって本人確認を行っている「認定認証業務」と、こうした本人確認を行うことが条件になっていない「特定認証業務」の2種類があります。

公的機関(公的認証局)が発行する電子証明書はマイナンバーカードに搭載されており、公的個人認証サービス(JPKI)と呼ばれています。また、法務局では、「商業登記に基づく電子認証制度」として企業向けに会社代表の電子証明書を発行しており、これは代表取締役の登録印と同等なものです。

では、これらの電子証明書にはどのような違いがあるのか比べてみましょう。

マイナンバーカードには実印並みの効力を持っていますが、用途に制限があります。

民間認証局の発行する認定認証業務は実印並みですが住民票の提出などが必要なため、発行に手間がかかります。また、特定認証業務の信頼性は事業者によって異なり、実印から三文判レベルまでさまざまです。

そして、法務省が発行する会社代表の電子証明書は、法人の登録印に相当しますが、代表以外の取締役等には使えません。

2つの署名タイプ「当事者型電子署名」と「立会人型電子署名」

電子署名は「当事者型電子署名」と「立会人型電子署名」の2つです。

また、当事者型電子署名には「ローカル署名」と「リモート署名」という方法があります。

当事者型電子署名におけるローカル署名とは、署名に必要な秘密鍵などの管理をはじめとして、一連のフローを自分の環境(ローカル環境)で行う方法です。従来はこの方法が採用されていました。

一方、当事者型電子署名のリモート署名では、利用者の秘密鍵をサーバー上に置き、利用者はログインして、このサーバーの中で電子文書に電子署名を行うのです。秘密鍵は秘密情報保持装置(HSM)と呼ばれる安全な環境に保管されます。

リモート署名には、利用者の秘密鍵が保存されるサーバー管理をどうするかといった課題があります。また、電子署名法3条による「本人による」電子署名と認められるためには、本人の意思によって生成される必要があるため、サーバー上で行われる電子署名が本人の意思に基づくものなのか、検討されている状況となっています。

次に、立会人型電子署名について解説します。

例えば、AがBと契約する場合、AとBそれぞれが押印するのと同様に、それぞれが電子署名を行うのが自然な流れです。しかし、立会人型電子署名では、AとBの代わりにサーバーが立会人となって電子署名を行います。

電子契約システムにおいて、AとBの意思を確認したサーバーが、「両者の意思を確認した」という意味で電子署名を行うのです。

「当事者型電子署名」と「立会人型電子署名」どちらを選ぶか

当事者型電子署名と立会人型電子署名のどちらを選ぶかについてのポイントは、電子署名法第3条における「成立が真正であること」が推定できるか、でしょう。

リモート署名は推定が得られると思われます。立会人型は、推定が得られる「可能性がある」と判断できるのではないでしょうか。また、本人確認について、当事者型電子署名は厳格ですが、立会人型電子署名は簡単なものです。メールアドレスの到達確認だけというものもあります。

政府見解ではリモート署名について、利用者本人がログインし、サーバーが機械的に、何らかの意図が入らずに電子署名を行うのであれば、本人によるものと考え得るとしています。立会人型についても、政府からは「真正な成立の推定が得られうる」旨の見解が出されています。

しかし、立会人型におけるプロセスの固有性(他人には電子署名ができない安全な仕組みであること)などの要件やガイドラインについては政府から出されておらず、課題となっているのが現状です。ちなみに、リモート署名にはEUなど公的な基準があることをお伝えしておきます。

次に、本人確認のレベルです。電子証明書の発行時やユーザIDの登録時の本人確認が厳格であれば、訴訟での証明が容易です。しかし、発行までのプロセスが大変です。だからといって本人確認がメールアドレスのみとなると、簡単に利用できる反面、否定される可能性もあります。

本人確認レベルと利便性はトレードオフの関係にあるため、電子署名を行う文書の重要性に合わせて、サービスを選ぶのがよいでしょう。

例えば、代表取締役の登録印を使用してきた文書には、法務局が発行する電子証明書を使ったローカル署名を行う。認印や三文判を使っていた文書には、メールアドレスだけ本人確認をした立会人型電子署名でOKといったように、検討してみてください。

まとめ

ほぼ全ての契約書は電子化が可能で、法的効力を持ちます。電子署名には、当事者型電子署名と立会人型電子署名の2種類があり、電子署名法における適用の可能性や本人確認のレベルなどに違いがあります。対象となる文書に合わせて、サービスを選択しましょう。

<プロフィール>
弁護士・宮内・水町IT法律事務所代表弁護士。
1983年東京大学工学部電子工学科卒業。1985年東京大学工学系大学院電子工学専門課程(修士課程)修了。1985年日本電気株式会社入社。情報セキュリティ等の研究活動に従事。2004年同社退社。2007年東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻(法科大学院)卒業。2008年法曹資格取得。第二東京弁護士会に弁護士登録。2011年宮内宏法律事務所(現 宮内・水町IT法律事務所)開設、現在に至る。電子署名法研究会等の政府委員会に多数参加。法政大学・長崎県立大学非常勤講師。著書:「改訂版 電子契約の教科書」(日本法令)等。

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