電子契約を学ぶ

2020年7月15日

電子契約のメリット・デメリット│導入時に発生し得る課題への対処法

書面での契約書から解放される電子契約は、業務効率性やコストなどの面でメリットを持っています。同時に、導入に当たってはデメリットを見過ごすことなく、上手にプロセスを進めることが求められます。

そこで今回は、電子契約の基本を説明するとともに、導入時の課題にも目を向けて、どのような流れで導入作業を進めるべきかお伝えします。

そもそも電子契約とは

電子契約とは、紙の契約書に印鑑を押印していた従来に代わり、電子データに電子署名をして取り交わされる契約のことです。契約内容が電子データの形で作成されますが、書面による契約と同様の証拠力を認められています。

電子契約について理解するためには、書面契約と比較して検証することが重要です。両者の違いは、以下の通りです。

電子契約の特徴は、形式(電子データ)のみならず証拠力および事務処理のやり方に表れています。電子署名または電子サインが印鑑の代わりに押印の役割を果たし、電子証明書によって本人性を担保します。そして、改ざん防止のためにタイムスタンプを利用します。タイムスタンプとは、特定の時刻に電子データが存在していたことと、それ以降に改ざんされていないことを証明する技術です。電子的な文書は容易に編集できる(改ざんできる)という弱点がありますので、電子署名やタイムスタンプによって真正を証明します。

電子契約の法的効力は?

民事訴訟法第228条第1項、第4項によれば、本人の署名または押印があるものについては、本人の意思によるものと推定されます。電子契約でも、電子署名法第3条によって、電子署名がなされていれば同様の効力を持つと認められています。

2つの署名タイプ

電子署名は、「電子署名タイプ」と「電子サインタイプ」の2つに分けられます。電子署名タイプは、第三者機関である電子認証局の審査を受けて発行された電子証明書を用いることで本人性を担保します。一方の電子サインタイプは、メール認証やログなどの方法で本人性を担保します。電子署名法に準拠しているため、電子署名タイプの方が高い証拠力を持ちます。一方の電子サインタイプは、スピーディーに導入できる特徴があります。


電子サイン タイプ
メール認証など、システムログで本人性を担保

電子署名 タイプ
電子認証局が厳格に本人確認した電子証明書で本人性を担保

電子データであるだけに、送付・保管といった事務処理も電子契約は書面契約と大きく異なります。郵送とは違いオンライン上でやり取りを行い、サーバにデータを保管します。紙ではありませんから、印紙税も必要ありません。紙を利用しないことが、次に説明するメリットに繋がります。

電子契約のメリット

契約業務の効率化

紙の契約書は作成後に印刷して製本し、押印して郵送する手続きが必要です。また相手方も押印して郵送する手続きが必要になります。印刷してから郵送で手元に戻ってくるまでに、大半は1週間以上かかります。万が一相手が郵送に気付かなかったり、返送手続きに時間がかかった場合、契約の締結が完了するまでに数週間かかるかもしれません。

電子契約であれば、印刷・製本・押印・郵送といった一連の手続きを省略することができます。相手方の手続きや進捗の管理もできますから、「相手が気付かず返送が遅れる」という可能性はゼロに等しくなります。こうした業務を省力化することで、契約締結までの交渉やサービスの提供などといった重要な部分に力を注げるようになります。

コスト削減

書面契約は印紙税や印刷・製本・郵送などのコストがかかります。また、契約書を保管するために倉庫や書棚などのスペースを用意しなければなりません。契約書をしまったり探したりするのにかかる時間も、人件費という金銭的なコストに跳ね返ります。

電子契約は、契約に関わる業務のコスト削減を実現します。前述の通り、印紙税の課税対象ではありませんし、製本や郵送などの費用も不要です。契約書を保管し続けるコストも必要ありません。

コンプライアンス強化

契約を取り交わすまでのプロセスが可視化されるため、契約漏れや更新・解約漏れなどのリスクがなくなります。電子データの閲覧権限を厳密に管理できるため、外部の人や社内にいる契約とは無関係な人に契約内容を見られることもなくなります。バックアップを取れば、万が一データの改ざんや紛失などが起きても復旧が容易です。これらの機能により、紙の契約書よりもコンプライアンスを強化することにつながります。

電子契約のデメリット

電子契約の認められない契約書の存在

多くのケースで電子契約書でも法的効力を認められていますが、定期建物賃貸借契約、定期借地契約など、法律に基づき紙面での交付を義務づけられている一部の契約書があります。少しずつ電子契約の認められる領域は広がってきていますので、今後の法律改正や環境の変化に注意が必要です。

サイバー攻撃のリスク

電子契約書を管理しているサーバがサイバー攻撃を受け、データが改ざんや盗難の被害を受けるリスクがあります。導入するシステムのセキュリティ対策は十分に確認する必要があります。

社内調整の大変さ

導入や運用に当たって、当事者が最も困難を感じるのがこの点かも知れません。電子契約を導入するということは、社内の業務フローを更新することをも意味します。また、これまで紙の契約に慣れていた関係者が、電子契約に対する心理的な抵抗感を覚えることもあります。

社内の壁を突破しても、顧客やパートナー企業など社外の関係者に対しても調整を進めなければならないこともあります。電子契約がいくら便利でも、社内調整の大変さにめげてしまう人もいるでしょう。

導入後の運用体制を整える必要も出てきます。誰がどのような形で管理するべきなのか、システム関連の部署やバックオフィスの部署、経営層など複数の関係者が議論を重ねる必要があります。

電子契約システムの導入時に発生し得る課題と対策

以上のデメリットを踏まえ、電子契約を実際に導入するとなったら、どのような課題が発生するのか、それに対してどのような対策を取るべきなのか考えましょう。

社内調整の大変さ

会社規模や文化にも左右されますが、社内外の関係者の合意をとりつける作業はとても重要です。社内調整に当たっては、「それぞれの関係者にとってどんなメリットがあるのか」をしっかり理解してもらう機会を設けるべきでしょう。

運用開始の前には、問い合わせ対応を行う部署を明確にすること、そして分かりやすいマニュアルは欠かせません。一度電子契約システムの便利さを実感すれば、定着の可能性も見えてきます。

電子帳簿保存法に基づく運用

電子契約を運用するためには、電子帳簿保存法という法律に則った保存場所や保存期間などを満たす形でデータを保管する必要があります。電子契約を導入する前に、サービス提供者や開発会社に対して法的要件をどの程度満たしているのか確認する必要があるでしょう。

電子契約システムの導入フロー

システムを導入する前に、社内調整や契約書・業務フローの見直しが必要です。

法務関係者への説明

法務部のように、社内で法務を担当する部門や契約書の管理を担当する部門に説明を行います。メリット・デメリットの説明はもちろんですが、特に法務部門や管理部門が気にする法律に基づく証拠力については十分に説明し理解いただけるようにします。

契約書・業務フローの見直し

契約書や業務フローの中で、紙を前提とした文言やプロセスがないか確認し、場合によっては変更を余儀なくされることもあります。どうしても業務フローを変更できない場合は、電子契約の導入範囲を狭める判断も必要になります。

社内外の関係者へ周知

電子契約を主に利用する社内の関係者はもちろん、取引先やパートナー会社など社外の関係者にも周知を徹底します。電子契約書とは何か、どのように使用するのか、法的リスクはないのかなどを説明しましょう。

電子契約システムの申込と登録

実際の導入作業を開始します。Agreeの始め方につきましては、こちらのページに詳しい説明がございますのでご参照ください。

メリット・デメリットを踏まえて導入・運用フローを検討しよう

電子契約には多くのメリットがありますが、導入や運用の際にはフローが変わること、社内外の関係者の心理的な抵抗感を生みかねないことに注意を払う必要があります。導入経験の豊富なベンダーにも問い合わせて、自社に最適な方法や進め方を慎重に検討するようにしましょう。

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ハンコ脱出作戦 編集部

筆者

ハンコ脱出作戦 編集部

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